認知症の人とみんなの活動センターWORKSあい

 私たちの活動の原点は、若年性認知症と診断されたひとりの男性との出会いです。
 その人は、業務が手順どおりにできなくなるなどの違和感から病院を受診して、認知症と診断をされました。それで若年性認知症支援コーディネーターにつながったのですが、その時には、もう、退職届を出す寸前のところでした。
 彼は仕事の継続はやはり難しいと、退職することになったのですが、まだまだ出来ることはある、仕事がしたいとの思いは強くありました。そこで、農作物出荷の手伝いのコーディネートを受け、その後、家族の会徳島県支部で月曜から金曜の午前中、無償ですが事務手伝い等をお願いするようになりました。毎日行くところがある、居場所があり役割があることは、人が生活していく上でとても大事です。
 彼と家族の、同じ悩みを持つ人とつながりたいとの思いから、「本人交流会あいの会」を始めました。あいの会の「あい」は出会い、愛、そして藍にかけて名付けました。毎月1回の開催でしたが、最初は彼と家族、スタッフ以外には誰も来ない日もありました。そのうちにひとりふたりと参加する当事者が増えていき、あいの会は、今では本人と家族そしてスタッフを合わせて20人近くの参加を見るようになりました。
 そのような中、社会の役に立ちたい、もっと活動したいと立ち上げたのが、WORKSあいです。
 代表の人脈で、つるぎ町家賀の傾斜地農法(世界農業遺産)の藍栽培の手伝いに始まり、仕事がしたいとの思いを快く受け止めてくれた社会福祉施設での備品等の清掃、そして寺院の清掃、コロナ禍をきっかけに養護老人ホーム入所者と連携して内職の造花作業など、働きたい思いをカタチにしています。今は毎週木曜日の活動ですが、徳島県立総合福祉センターの会議室では手狭なほどに、本人メンバーが増えているのが、嬉しい悩みです。
 WORKSあいに来ると仲間に会える。認知症を気にせず談笑できる。ここにいると自然に笑い、笑顔が尽きることがありません。みんなが元気になるのが週1回だけではもったいない。そこで、活動拠点を常設することが次の目標となりました。
 そして、今、新たな活動拠点としてcafe de あいを開設することができました。これからさらに、認知症とともに働くカタチをみんなで模索していきます。